麻布俳句教室

麻布で俳句――。「卯浪俳句会・麻布教室」で俳句を学ぶ仲間の活動記録です。

毎月第1土曜日開催の卯浪俳句会・麻布教室は、一緒に学ぶメンバー募集中です!当教室の詳細は、本ブログの「麻布俳句教室について」をご覧ください。 体験ご希望の方は、online@haiku.jp へご連絡ください。

カテゴリ: 季題(季語)を少しずつ

こんにちは。
今日の東京はぽかぽか陽気になるそうです。
本格的な春はもうすぐですね。
いかがお過ごしでしょうか。

先日、麻布俳句教室の鉄馬さんから「節分草」の画像をいただきました。
節分草

「節分草」、ご存じですか。
私は初めて知りました。

<節分草>
節分草は関東以西に自生するキンポウゲ科の植物。特に太平洋側でみられる植物で、キンポウゲ科の中では最も早く咲く種類のひとつです。冬の終わりから春にかけて咲くので「節分草」と名づけられました。白い部分は花びらではなく、萼片だそうです。群生する植物ですが、その美しさからか、近年は盗掘などのために数が減っており、保護活動が進められています。

アップは、こんな感じ。
節分草2

ふたり棲む節分草をふやしつゝ
黒田杏子


園芸の本などを見ると、育てている方もいらっしゃるよう。

鉄馬さんが撮影されたのは、自然教育園。同所のパンフレットによると、環境省の「準絶滅危惧種」に指定されているそうです。希少な花。鉄馬さんも初めて見たそうです。

又も聞く節分草は見たきもの
高澤良一


高澤さんも見たいとおっしゃっている節分草。見られたのは鉄馬さん、ラッキーですね!

ちなみに、「節分草」。
『ホトトギス新歳時記』(三省堂)にも『合本俳句歳時記第四版』(角川学芸出版)にも季語として掲載はありませんでしたが、『きごさい歳時記』には初春の季語として掲載されています。

咲くだけの光あつめて節分草
高橋悦男


鉄馬さんが自然教育園の管理人さんに聞いたところ、「2月中頃くらいまで見ることができるのは」とのことだそう。
希少な花を見る、今がチャンスですね。

こんにちは。
昨晩の十三夜、お月見はできましたか。
我が家からは雲間の見え隠れでした。
逆にくっきり見えたときに感動がありました。

今日は穏やかないい天気。
いかがお過ごしですか。

さて、麻布俳句教室のメンバーの鉄馬さんから写真が送られてきました。
先日、小豆島に旅行に行かれたときの、千枚田の稲架掛けの写真です。
稲架 小豆島にて

分校の下には棚田稲架の列
鉄馬


稲架掛けの天日干しのお米はおいしいですよね。
私事ですが、子供のころから三十歳頃まで、祖父が天日に干したお米を食べていました。
毎年送ってくれるお米の味がある年、急に変わりました。
驚いて電話すると、年老いた祖父は天日干しができなくなり、「カントリーエレベーター」というお米を乾燥させる施設で機械乾燥することにしたとのこと。
もうあのお米が味わえないと知ったときの衝撃は今でもよ~く覚えています。

長くなりました。
今日は、米作りに関する季語と例句を集めてみました。

<春>
農業は土づくりから。春になると、床土(とこつち)をつくり、畦塗(あぜぬり)をする、田起こしをするといった、よい米を作る環境整備が始まります。

田打
遠く居し田打の人も雨に消え
松岡悠風


畦塗
不機嫌に昨日の畦をぬりかへし
田島耕人


種籾を厳選し、水分を吸わせ、育苗箱に種をまきます。
今はもう俵には詰めませんが、古式に則りまして…。

種俵(秋に採取した種籾を入れておく俵)
種俵沈めあるらし泡立てり
山﨑一角

種井(種俵を浸しておく井戸)
雨水の濁りさしこむ種井かな
淺野白山

種選(種を選り分ける)
種を選る土のぬくさをこゝろ待つ
戸澤寒子房


<夏>
さあ、いよいよ育った稲の苗を田んぼに植えます。

代搔く(田んぼに水を入れ、土を砕いて平らにする作業)
だんだんとすなほになりぬ田掻牛
出羽里石

代田
畦暮れて代田の水の四角かな
大島早苗

早苗
まだ水になれぬ手足や早苗取
村地宏木

以前は、稲の苗を育てる苗代から早苗を取り、田植をしていました。
今は、育苗箱で苗が育てられるので、早苗取は姿を消したのかも。

田植
田を植ゑるしづかな音へ出でにけり
中村草田男

この後は、稲が丈夫に育つのを助ける大変な作業がたくさんありますが、ちょっと割愛いたします。

<秋>
田んぼが黄金色に輝く秋になりました。

秋の田
千枚の秋の田山に張り付きし
須藤常央


道問ひし少年稲の香をもてり
町田美知子


いよいよ収穫の時がやってきました。

稲刈
稲刈るや後の鎌に追はれつゝ
公文東梨

刈田
刈田の子とんぼがへりをして遊ぶ
白川朝帆

稲架
稲架並ぶ日本の空に帰りけり
太田梨三

稲扱(いねこき)
まれといふ稲扱日和稲架下ろし
澤村芳翠


稲扱で稲穂から籾を分離したら、籾殻を取り除いて玄米に。
そして、精米して、炊飯。
おいしいご飯のできあがりです。

新米
どうあろと先新米ぞうまし国
炭太祇


白米

実は稲作関連の季語は、まだまだたくさんありました。
やはり日本は、お米の国ですね。
今日もおいしいご飯をいただきます。

こんにちは。
いいお天気です。
今、久しぶりにミンミンゼミの声が聞こえています。

昨夜は中秋の名月をご覧になりましたか。
東京は雲一つなく、たっぷりと月を楽しむことができました。
まさしく名月、でした。
中秋の名月

我が家のベランダで月を眺めていたら、なんだかいい香りがしてきます。
「えっ、月の香?」と思ったら、ジャスミンが1輪咲いていました。
月見酒が過ぎたのかもしれません。
自分のボケ具合に驚きました。

でも、降り注ぐ月の光に香があるならば、ジャスミンなんてピッタリかもと思いました。

そこで、「月」と「花の香」を取り合わせた俳句を探してみました。

白粉花の夕咲く香なり二日月
遠藤はつ

おしろい花の香。
これは季節もぴったりですね。


満月へ水仙の香の上りけり
小島健

これは冬の満月ですね。
しかも香が立ち上る方の。

秋はイベント盛りだくさん。
たくさん体感して、たくさんの句を詠みたいです。

今日は8月最後の日曜日。
東京は雨、雨、曇り、雨、雨です。
夕月夜のお月様を楽しみにしていたのですが、今夕は拝めそうもありません。

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

夕べ、風虎さんから写真が送られてきました。


バッタ

おとぼけ顔のバッタの写真です。

バッタは漢字では、飛蝗と螇蚸と書きます。
飛蝗の「蝗」はバッタの仲間のイナゴのこと。
こちらもバッタと同じく秋の季題(季語)です。
飛蝗は「ばつた」もしくは「ひこう」と読み、「螇蚸」は「ばつた」または「はたはた」と読むようです。

では、「ばつた」の句をいくつか――。

しづかなる力満ちゆき螇蚸とぶ
加藤楸邨

はたはたに影及ぼせば飛びにけり
中村草田男

はたはたの飛びしうす羽の曇りかな
細見綾子

反らしたる指を離れぬばつたかな
山西雅子


バッタの句をいろいろ読んでみましたが、バッタをよ~く観察されて詠まれた一物仕立ての句が圧倒的に多い印象でした。





こんばんは。
雨の多い東京です。

皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

麻布俳句教室のメンバー、鉄馬さんから画像が届きました。
南蛮煙管

さてさて、これは何でしょうか。






南蛮煙管というのだそうです。
鉄馬さんが自然植物園に散歩に行かれたら「いつもの場所に今年も咲いていた」そうです。
私は初めて見ました。

「みんなの花図鑑」によれば、南蛮煙管はハナウツボ科の一年草。
名前の由来は、皆さんお察しの通り、南蛮渡来の煙管に似ていることからナンバンギセル。
葉緑素を持たない寄生植物で、ススキなどの根に寄生しています。

花は可憐で美しく、癒し。
なんて思っていましたが、南蛮煙管を見ているとなんだか気持ちがゾワゾワとしてきます。
鉄馬さんも、「寄生植物にも数あれど、この花は可憐な装い…。ですが何か『会ってはいけない人!?』みたいでおー怖い怖い…笑」と。
確かに、そのとおりです。

『ホトトギス新歳時記』には、南蛮煙管は記載されていませんが、秋の季語としている歳時記もちらほら。
思草(おもいぐさ)、きせる草とも。

鉄馬さんから、鷹羽狩行の句の紹介がありました。

うつむきて誰を思ふや思草  鷹羽狩行

うつむいて、しとやかな様子に心奪われてはなりませぬ。
お気をつけあれ。

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