麻布俳句教室

麻布で俳句――。「卯浪俳句会・麻布教室」で俳句を学ぶ仲間の活動記録です。

毎月第1土曜日開催の卯浪俳句会・麻布教室は、一緒に学ぶメンバー募集中です!当教室の詳細は、本ブログの「麻布俳句教室について」をご覧ください。 体験ご希望の方は、online@haiku.jp へご連絡ください。

カテゴリ: 季題(季語)を少しずつ

危うく間違えるところでした。

蚯蚓

「おかっぴき」ではなく、
「みみず」と読むのですか!

いやはや
驚きと発見の毎日です。

カレンダーに
「蚯蚓出る」と書いてあったので、
なんだろうと思ったら、
「みみずいずる」と。

蚯蚓は、梅雨の頃に
地上に這い出ているのを
見かけるようになるので、
夏の季題なのだそうです。

確かに、土が
雨水で柔らかくなって
這い出しやすそうです。

蚯蚓は見た目がちょっと
気持ち悪いですが、
人間にはとても大事な生き物。
蚯蚓は土を肥やしてくれます。

角川の歳時記に
次の俳句がありました。

何をしにここに出てきて蚯蚓死す
谷野予志

蚯蚓は夜活動するので、
アスファルトの道路に
夜中にのこのこと
這い出ていることがよくあります。

蚯蚓にとって生きにくい
時代です…。

夏の季題には
蚯蚓以外にも
小さな生き物がいっぱい。
たとえば、
あめんぼ、源五郎、みずすまし。
蝉、糸蜻蛉、蟻。
蝸牛、夜光虫。
そして、そして、
蠅、蚊、
ごきぶり、なめくじ、
蛭(ひる)や蚰蜒(げぢげぢ)まで。

家に入り込む厄介モノも
季題になるなんて、
俳句はつくづく生活に
根ざした文学だと痛感します。

余談ですが、
今のワードの変換能力って
すごいですね。
「げじげじ」と入力すると
「🐛」に変換されました。

一所懸命に背伸びして、
短い腕を目いっぱい
伸ばしたのですが、
うまく撮れません。

桜の実

ぼやけていて、なおかつ
小さすぎて、ごめんなさい。
二つの赤い実、見えますか?

桜の実です。
結構発見するのですが、
なかなかうまく撮影できません。

桜の開花の後に
咲く果実である
桜の実の季題は
夏です。

さくらんぼ(桜桃)とは
違いますが、
食べても毒性はないそうです。
ただし、おいしくないとか。
(中には塩漬けなどに
加工される種類の桜も
あるそうです)

俳句では、
桜の実、以外に、
桜実、実桜と
表現されます。

桜の実苦しと知れど確かめき
相生垣瓜人(あいおいがき かじん)

やはり確かめた人、
いるんですね。
私も確かめたい...。

しかし、地面にはたくさんの
桜の実が落ちていますが、
さすがに拾って食べる
勇気はなく…。

桜の実2

最近はどんな果物も
売場に登場するのが
非常に早い!

枇杷も
店によっては
すでに4月の下旬に
並んでいました。

びわ

季節を先取りし過ぎて
本来はいつが旬か
わかりづらくなっていますが、
枇杷の旬は概ね6月。

東京の路地の枇杷は、
まだこんな感じです。
びわ2

枇杷の実の季題は
夏ですが、
枇杷の花は冬。
枇杷葉湯(びわようとう)は夏。

枇杷葉湯とは、
枇杷の葉を干して
煎じた飲み物。
暑気払いの薬として
飲んだそうです。

やはらかな紙につつまれ枇杷のあり
篠原 梵

今や、枇杷は高級品。
先日、デパ地下で
進物用を1万円で
売っていました。

♪卯の花の匂う
垣根に
ホトトギス
早も来鳴きて
忍び音もらす
夏は来ぬ♪

これからの時期ですね。
旧暦の4月に
咲くことから
「卯月の花」。
転じて、「卯の花」と
なったそうです。

本日、5月20日は
旧暦の4月25日。
まさに、「夏は来ぬ」の
季節です。

昔から夏を知る
目安とされてきた
卯の花。
別名は、
空木(うつぎ)。

正直、この花を
見たことがあるかどうか、
記憶にありません。

卯の花の匂う垣根。
香りの高い花なのですね。
今夏はちょっと
この花を探してみたいと
思います。

もちろん季題は夏。
卯の花、花空木、
卯の花垣ほか、
卯の花腐しという
のもありました。
読みは、
「うのはなくたし」、
もしくは
「うのはなくだし」。
旧暦4月に降り続く
霖雨のこと。

卯の花ではなく、
歌詞にあった
ホトトギスの句を。

大桑の空より風のほととぎす
佳田翡翠

今日のお題に入る前に、ご連絡。
2月3日「佳田翡翠講師について」と
5月6日「薔薇が咲いた」
に加筆しましたので
そちらも一緒に
ご覧いただけたら
うれしいです。

***************
さて、今日のお題は、
「東京都の花、港区の花」です。
各都道府県に
県の花がありますよね。

東京都生活文化局によると、
これは、昭和29(1954)年に
NHK、全日本観光連盟、
日本交通公社、植物友の会が
主催し、農林省、文部省、
都道府県、国鉄が後援して
「郷土の花」を地域の人の
投票で決めようじゃ
ないかということで
決定したのだそうです。

そのとき、東京都は
都の花を
染井吉野にしました。

その後、もっと正式に
決めましょうよ、
ということになり、
昭和59(1984)年に
「都の花選考会」で
正式に染井吉野に
決定したそうです。

その時のアンケートでは、
86.9%が染井吉野と
答えたそう。
逆に、その他にどんな花が
挙がったのか知りたいですね。

ちなみに、
都の木は公孫樹で、
都の鳥はゆりかもめです。

では、港区の花は
何でしょうか。

紫陽花と薔薇です。

しかし、紫陽花や薔薇よりも
私の個人的な印象としては、
港区には躑躅が
とても多い気がしています。

特に5月初旬は、
区内のどこでも、
道路沿いに躑躅が見られます。

では、港区の木は、
というと、花水木です。

花水木

花水木は
もともと日本の木では
ありません。
その昔、
東京市がワシントン市に
桜を贈ったお返しとして
大正4(1915)年に
やってきたそうです。

街路樹として
植えられており、
躑躅同様、区内で多く見かけます。
白とピンクの花が
とても爽やか。

写真を撮って、
気づいたのですが、
花水木の花は撮影しづらいです。
皆上を向いて咲いており、
街路樹になっている場合は
下部の枝が払われている。
下から撮影すると、
花の裏側だけを
撮影することになります。

やっと、若い木を見つけ、
ばっちり花を撮影できました。

花水木2

花水木の季題は
角川の歳時記では春。
しかし、ホトトギスの
俳句季題便覧では
夏になっています。

咲き始めるのが
4月末という
微妙な時期なので、
4月もしくは5月
あたりに詠むということで
よいのでしょうか。

角川の歳時記に
載っていた次の俳句が
実感でした。

花水木咲き新しき街生まる
小宮和子


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