麻布俳句教室

麻布で俳句――。「卯浪俳句会・麻布教室」で俳句を学ぶ仲間の活動記録です。

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カテゴリ: 季題(季語)を少しずつ

5月の句会の
兼題のひとつが
草笛です。

草の葉をとって
笛のように鳴らすこと。
もしくは葉っぱで作った笛。

草笛は、
鋭い音がします。

私はさっぱり
できませんでした。
というか、
カラスノエンドウで作った
ピーピー笛もうまく
鳴らせませんでした。

カラスノエンドウ

うまく鳴らせずとも
下校時に友達に習って
笛を吹いていたのは、
この季節だったのですね。

でも、季題の草笛は
ピーピー笛のことでは
ありませんね。

ピーピー笛のおどけた
感じと違って
草笛は哀愁がありますね。

角川の『俳句歳時記』に
こんな句がありました。

草笛を吹く四五人に加はりぬ
山西雅子

曲はなんだったのでしょうね。


早くも、さくらんぼが
店に並んでいますね。

正式名は桜桃(おうとう)。
しかし、桜桃よりも
さくらんぼの名の方が
ポピュラーですね。

さくらんぼ

写真は佐藤錦ですが、
今は、たくさんの品種が
ありますよね。

果物情報サイト 果物ナビ
によると、原産地は
カスピ海沿岸付近。
日本の古い文献にも
「桜桃」の名は登場しますが、
これは中国のさくらんぼのこと。
日本では明治初期に、
アメリカやフランスなどの品種を
導入して栽培されるようになった
のだそうです。

日本人にとっては、
案外新しい果物だった
のですね。

ということは、明治時代の
俳句に「さくらんぼ」が
出てきたら、
かなり流行最先端な
感じだったのかも
知れませんね。

さくらんぼの季題は夏。

さくらんぼを詠んだ
最古の俳句は
いつ頃でしょうね。

調べるのには
相当時間がかかりそう
なので、ひとまず、
明治生まれの俳人の
さくらんぼの句をいくつか。
(生まれ順で)

茎右往左往菓子器のさくらんぼ
高濱虚子
(1874年生まれ)

待つてゐるさくらんぼ熟れてゐる
種田山頭火
(1882年生まれ)

さくらんぼわが歳ほど籠に盛らば
山口青邨
(1892年生まれ)

青邨さん、籠に盛ってもいいですが、
全部食べてはいけませんよ。
何でも食べすぎはよくありません。

小粉団?

これもまた
簡単な字の
組み合わせですが、
絶対に読めないですねぇ。
「こでまり」と読むそうです。

こでまり。
小手毬とも書きますが、
この際、覚えておきます。
小麦粉の団子みたいな
字を書く、小粉団。

雪柳が終わったと思ったら、
小粉団の花が咲きました。

俳句的には春の季題ですが、
まだ華麗に咲いています。

コデマリ

雪柳、しもつけ、小粉団の花は
同じ仲間なのだそうです。

雪柳よりもボリュームが
あって、豪華。
豪華だけれど、かわいらしい。
江戸時代から観賞用に
栽培されていたそうです。
わかる~、その気持ち。

小でまりや裏戸より訪ふことに馴れ
高濱年尾

馴れちゃうぐらい
裏戸から訪問するって、
一体どちらへ?


青嵐――。
5月の句会の兼題です。

歳時記の索引で
「せいらん」を引いたら
ありませんでした!
そこはそれ、
この種の失敗には
すっかり慣れっこ。
「あおあらし」で
引き直したら、
ありました!!。

青葉の頃に吹く強めの風
のことだそうです。

「せいらん」と音読すると
「晴嵐」と紛らわしいので
「あおあらし」と読む慣わし
とのこと。
なるほど~。

「晴嵐」は
晴れた日に吹く山風
だそうです。

4月の半ば、
ある大学に行ったら、
カエデの若葉が
あまりに美しくて、
門に立っていた
警備員の方に
「緑、きれいですね」と
声を掛けました。
「この前まで小さな芽
だったのに
急にこんなに開いて」
と警備員さん。
美しい緑の下での警備。
「やっといい季節ですね」と
言った瞬間、
強風が吹きました。

この風を青嵐というには
季節が少し早いですね。
4月半ばでしたから。
この場合は春嵐ですか?

あっ、そういえば、
カエデの漢字は楓ですね。
木ヘンに風で楓。
楓といえば、
スピッツの名曲「楓」。
あの曲には楓は一向に
登場しませんね。

目の中に山が一ぱい青嵐
右城暮石



 

♪薔薇が咲いた、
薔薇が咲いた、
黄色い薔薇が~♪

薔薇

花弁が
緑色から黄色への
グラデーション。

誰にも媚びず
すくっと自立している
たたずまいが素敵です。

今時、お花屋さんに
行けば一年中
手に入る薔薇ですが、
本来はこれから咲く花。
薔薇の季題は夏です。

ゴールデンウイークは
終わりましたが、
これから
薔薇を見に行くなら
どこへ行きますか。

神代植物公園
薔薇でとっても
有名ですね。

あるいは
新宿御苑
フランス式整形庭園も。

旧古川庭園
鳩山会館
洋館を背景にした薔薇を
見るのもいいですね。

さて、これまでの流れで、
正岡子規さんの
薔薇の句を。

夕風や白薔薇の花皆動く
正岡子規

そして、翡翠先生の句。

花嫁の父なり君に薔薇の雨
佳田翡翠

お嬢さんのご結婚のときの
句でしょうか。
花嫁の父。
薔薇の雨。
想像しただけで、
グッときます。

このブログを掲載した5月6日、
偶然にも翡翠先生のお庭の
薔薇が咲いたそうです。
レオナルド・ダ・ヴィンチという
種類の薔薇だそうです。
写真を送っていただきました!

翡翠先生の薔薇




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