麻布俳句教室

麻布で俳句――。「卯浪俳句会・麻布教室」で俳句を学ぶ仲間の活動記録です。

毎月第1土曜日開催の卯浪俳句会・麻布教室は、一緒に学ぶメンバー募集中です!当教室の詳細は、本ブログの「麻布俳句教室について」をご覧ください。 体験ご希望の方は、online@haiku.jp へご連絡ください。

カテゴリ: 季題(季語)を少しずつ

「出してくれ~!」
「出してくれ~!」

サツキ

躑躅が柵から
身を乗り出しています。

太陽の光が降り注ぐ
南を向いて
咲いているので
柵から花だけを
突き出しています。

見方によっては
おもしろいし、
見方によっては
切ない光景です。

おもしろいと言えば、
躑躅の漢字。
草冠ではなく足偏。
読みを知らないときは
何かの道具かと
思っていました。
(燭台の燭と造りが同じだし)

語源由来辞典で
調べてみました。

読みの方の「ツツジ」は、
「続き咲き木」が語源など
さまざまな説があるそうです。

漢字の「躑躅」は
「てきちょく」とも読みます。
「躑躅(てきちょく)」は、
「行っては止まる」や
「躊躇」という意味。

あまりの美しさに
足を止めたことから
躑躅という字を当てたとか
こちらもいろいろな説がある
みたいです。

花びらのうすしと思う白つつじ
高野素十

「出してくれ~!」の躑躅も
花びらが薄くみえる
白つつじですね。


ぶらんこは春の季題。
もうすぐ夏なので、
今話題にするのは
少し遅すぎるかも
しれませんが、

気になる句々が
あったので。

ぶらんこ。
ふらここ。
鞦韆。

なぜ春の季題なのでしょう。

わかりません…。
すでに唐・宋時代に
中国では遊戯だったこと。
嵯峨天皇が詩に
詠んでいることが
わかりました。
昔は由佐波利(ゆさはり)とも
いったそうです。
昔、清明節の遊び
だったそうですので、
そこから春の季題に
なったのでしょうか。

嵯峨天皇は786年生まれで
842年没ですので、
1200年ほど前にはぶらんこは
日本にあったということになります。

ぶらんこ。
面白い音ですが、
ポルトガル語のBalanço
から、そう呼ばれるように
なったという説があります。

ふらここも可愛い音ですね。

ふらここを降りて翼を失えり
神蔵 器

ふらここや昨日の雨をふりこぼし
佳田翡翠
(句集『木挽町』より)

シャボン玉も
春の季題。
暖かくなり、
外で遊ぶようになる
からでしょうか。

これも発見でした。

昨日はすごい雷でしたね。
春雷というには
少し遅いでしょうか。

さて、今年は4月20日から
5月4日までが
二十四節気のうちの
「穀雨」です。

穀物を育てる雨、穀雨。
「瑞雨(ずいう)」とも
いうそうです。

二十四節気では、
春は「立春」から「穀雨」まで。
今年は5月5日が「立夏」。
夏が始まります。

ですので、
夏が近づき、
行く春を惜しむことから、
季題では、
「暮の春」
「行く春」「春行く」
「春惜しむ」「惜春」
「夏近し」「夏隣」
などが歳時記に
載っています。

行く春や鳥啼き魚の目は泪
松尾芭蕉

あ、この句、知っています。
私が知っているってことは、
芭蕉の中でも
有名な句ですよね。

盤石をぬく燈台や夏近し
原石鼎

この句、声に出したときの
音が好きです。
夏が来る感じがしますね!

そういえば、
今日は
♪ 夏も近づく
八十八夜 ♪です。

夏がもうすぐなので、
少し早いですが、
ブログのデザインを
夏バージョンに
衣替えしてみました。



いよいよ
ゴールデンウイークに
突入ですね。

先日、
道端で見つけました。

紫けまん草

いつものように検索です。
そして、
「紫華鬘(むらさきけまん)」と
判明しました。

黄華鬘も
あるそうです。

華鬘草、紫華鬘、黄華鬘は
春の季題。

ただし、紫華鬘は
華鬘草に似ていることから
紫華鬘と名づけられたそう。
華鬘草とは違う
種類だそうです。
確かに画像を見ると
似ても似つかないです。

ところで、華鬘とは何?

答え。
仏前をかざるため、
仏堂の内陣の欄間などに
かける飾りだそうです。

イメージできないですよね。
奈良国立博物館の
収蔵品データベース
こんな画像がありました。

紫華鬘はそれとは
似ていませんが、
華鬘草は確かに
仏具の華鬘と似ているかも。
まるで心臓のような形が
一致します。

では、紫華鬘ではなく、
華鬘草の俳句を。

持ち帰りゐしは吉野の華鬘草
稲畑広太郎

よいゴールデンウイークを!








昨日投稿した
卯浪のこと。

私たちの先生、
佳田翡翠先生から
真砂女のこと、
卯浪のことについて
ご連絡いただき、
いろいろ教えていただきました。

昨日の投稿に加筆しました。
翡翠先生が
真砂女の逝去に際して
詠まれた句を載せました。
ぜひ、昨日の投稿も
振り返って読んでください!

*************

さて、今日のお題は、
山笑うです。

「山笑ふ」。

俳句を始める前から
「山笑ふ」という言葉は
聞いたことがありました。

なんとな~く
わかった感じになる言葉です。
重々しい山が
若葉が萌えて
柔らかい色に変わり、
春の日に照らされて、
何か明るい感じが漂う。
そんなイメージなんだろうなぁと。

それにしても、
山が笑ふ――。
よく考えてみると、
なぜこういう表現に
したのでしょうね。

調べてみたところ、
宋時代の呂祖謙が編んだ
詩画書『臥遊録』に載っている、
と記してある資料と、
北宋の画家、郭煕の『林泉高致』の
一節であるという資料があります。
出典についてはもう少し
リサーチする必要がありますが、
宋時代の次の詩から
生まれた表現である
ことは確かです。

春山澹冶(たんや)にして笑ふがごとし
夏山蒼翠にして滴るがごとし
秋山明浄にして粧ふがごとし
冬山惨澹として睡るがごとし

なので、
山滴る(夏)、山粧う(秋)
山眠る(冬)
もあるんですね。

山笑ふ しか知りませんでした。

故郷やどちらを見ても山笑ふ
正岡子規


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